Roots MMJ創業時からの歩み

事件の始まり、そして意外な結末へ

群馬県で本格的なアウトサイダー酪農が誕生して8年になる。
今の順調な販売活動を獲得するまでには多くの試練があった。
この事件もその一つであり、全国の酪農家の方にはぜひ事実を知っていただきたい。
そしてこのような前代未聞の情報公開を理解していただき、協力をしていただいた乳業会社をはじめとする多くの関係者に心から感謝申し上げます。

2002年9月(株)MMJが設立され、翌10月、兄弟会社である(株)ラクテックスは1周年を経過し、記念祝賀パ ーティーを盛大に行なった。
11月に1軒、12月10日にさらに1軒のそれぞれ地域有数、組合No,1の酪農家がMMJ加入してアウトサイダーになった。
今考えてみると、たたみ掛けるようにインサイダーの原乳を獲得する結果になったのであろう。
12月に入ったころ、どうも不審な乗用車がミルクローリーについてくる、という報告が運転手から来た。
早速、私(茂木)も含め農家のメンバーで手分けして尾行車両の発見、身元確認をしようと張り込むことにした。

しかしながら、こんな事は初めての経験で、それらしい車を発見しては逃げられるというイタチごっこが続いた。
なかなか捕捉できないので、証拠写真を撮って警察に任せようということになり、運転手全員にカメラを持たせる。

一ヶ月が過ぎ、年末年始の忙しさも一段落する1月17日の深夜3時、前橋南部運送の運転手が尾行車両を捕まえて、確認してくれた。
当初、どこかの探偵かと思っていた。
ところが群馬県牛乳販売農業協同組合連合会の課長とその部下であったのだ。
もちろん彼らは実行犯ではあっても首謀者ではなかった。
首謀者は県乳販連参事が「自身で考え命令した」と言っている。
ただその発言の信憑性は疑わしい。
さらにその上に命令者がいなければおかしい。
参事とはいえ職員である。やったことは職員業務の域を超えている。
MMJでは責任追及の文書を連合会最高責任者である会長に届けたが受け取らなかった。

「食品」としての犯罪性は無いことが確認されたので、これ以上は公的機関に預けるしかないと考え、 事件の一部始終を書面にし、警察と公正取引委員会に提出した。
その後、このような姑息な手段による妨害は一切なくなった。

事実上、実行犯となった課長もまた組織の犠牲者であると思う。
組織のあり方が問題である。
そしてこの県指定団体組織に群馬の99%の酪農家が傘下にいるのである。

事件の経過で使われ、受け取った書類をすべて掲載しています。
今後もMMJではこうした出来事は全てオープンにし、正面から対処していきます。

経過と概要(群馬県乳販連宛て資料)

以下は尾行事件の経過と概要についてまとめ、群馬県乳販連へ資料として提出したものである。

昨年(平成14年)12月18日と19日、翌1月17日深夜、当社(株)MMJが原乳輸送を依頼している運送会社および乳業メーカーの自社便が、何者かによる尾行追跡行為を受けた。
尾行そのものは特に法に触れる行為ではないが、どんな目的を持って尾行していたのかが問題だ。
当社が使用しているミルクローリーは10000リッターから15000リッター入る大型なもので、万が一悪意を持って人体に害のあるものや異物を混入すれば少なく見積もっても1万人以上の人に大変な事態を及ぼすことになる。
もしこのようなことが起これば、社会的な大事件に発展することは間違いなく、近年では雪印事件のように非常に多くの人々が被害を受けることになる。当社では、今回の事件が度重なる尾行であることと、長期にわたることから単なる興味本位やいたずらではないと判断し、原乳輸送に関わる担当者、運転手に対し尾行者の確認、車両ナンバーの確認、異常な行為に及ぶ尾行についてはその捕捉を指示した。1月17日の尾行については、まさに異常な行為といえる。
運転手の証言では、国道19号線上、塩尻で尾行車両に気付いて途中パーキングによってみることや、コンビニによってやり過ごそうとしたが付いて来たという。
深夜0時過ぎである。群馬ナンバーであることから、群馬県内から長野県の果てまでついてきたと考えられる。
さらに3回ほど駐車場に止め、1度は1時間も待ってみたが後方に止まって動かなかった。
19号線上、瑞浪に差し掛かったところで当方の運転手は、明らかに単なる尾行ではなく、何か目的を持ってついているものと判断し、車をコンビニに止め、尾行車両に近づきノックした。
ところがドアを開けずに出てこないので、さらに不審に思い無理やりドアを開け(ドアロックしていなかった)尾行車両の運転手を追及した。
「何でずっとつけてくるのだ」という問いに、明らかに嘘と思える口調で「名古屋に行く」と答えたそうである。
当方の運転手は「だったら先に行け」といい、尾行者を排除したという。そのとき尾行車両のナンバーを控えた。

翌1月18日、私は運転手から前日の事情を聞くと共に控えたナンバーを受け取った。
その日のうちに警察に事件を通報し、経過を説明し、指示を受けた。
1月20日、警察の案内により陸運局にて車両所有者を確認した。藤岡市在住の木村勝という人物と、富士見村の小渕初男という人物であった。
車両所有者と、尾行犯の関連を確認することと、尾行の目的を確認する必要があったので、所有者宅に一般的な帰宅時間の夜7時に伺った。
両者とも帰宅していなかったが外で10時まで待たせていただき、所有者木村勝氏に会えた。
事情説明と事実認定を行うと、木村勝氏は「当日、国道19号線上で尾行していたのは自分である」と認めた。
目的は「売り先(原乳の)を知りたかった」と答えた。「知ってどうする」という質問には答えてくれなかった。また職業を聞いたが答えていただけなかった。

その後、当方同行の北爪良和氏が、木村勝氏と面識があることがわかり、翌21日に確認したところ、貴連合会(群馬県乳販連)課長であることが判明した。
1月21日、私は尾行車両が複数であること、その運転者も複数であることから、かなり大掛かりな組織的な動き、目的を持った尾行であると判断した。
貴連合会に伺い事情を調査することにした。
貴連合会責任者と称して参事兼総務部長の高橋準氏が応待した。
事情説明と事実認定を済ませ、「誰が計画し実行したのか」という質問に、高橋氏本人がすべてを計画し、当該課長などに命令し、実行したことを認めた。
その目的を聞いたが、「尾行ローリーへの直接の悪意はない」と答え、「酪農家から聞かれるので売り先を調べたかった」という答えであった。

私自身、酪農家とは広くお付き合いがあり、原乳の売り先について聞かれることもあるが隠したことはない。
必要であれば乳業の名前の入った伝票をそのまま置いてくる事もある。
高橋氏は「原乳の売り先を調査した後どうするのか」という私の質問には答えなかった。
酪農家から聞かれたくらいでこれほど大掛かりに職員を動員して行うだろうか?不明瞭な答えである。

以上

群馬県牛乳販売農業協同組合連合会とのやり取り

1. 群馬県牛乳販売農業協同組合連合会への
調査資料提出要求書

MMJは群馬県牛乳販売農業協同組合連合会に対し、尾行事件に関する調査資料を提出するよう要求した。
以下はその文書である。

群馬県牛乳販売農業協同組合連合会会長殿

平成15年2月3日

別紙1、事件経過と概要にあるように、貴連合会職員(参事高橋氏)が自らの判断で部下の職員に命令し、1月17日深夜0時から3時にかけ、当社(株)MMJのミルクローリーを執拗に尾行追跡した事件についてその目的が何であったのか明確にしていただきたい。
本人は悪意を持った尾行ではないと言っているが、その理由について酪農家に言われ「売り先を知りたかっただけだ」というのは信じがたい。
別紙1にもあるように私、茂木修一は酪農家に対して、売り先を故意に隠した憶えはない。
下記4項目を調査し、関係書類を提出願いたい。

(1)まず、今回の事件を参事高橋氏が自らの判断で命令したというが、参事の権限でできることではないであろう。
職務上の権限を規程した服務規程か、無ければそれに変わるものを提出願いたい。
(2)当社は貴乳販連のさらに上部団体、関東生乳連では当社の販売先等を調べているという情報を得ている。
関東生乳連への情報提供を前提とした大掛かりな組織ぐるみの犯行ではなかったか。
もしそうした場合、どんな目的がそこにあったのかを明らかにしていただきたい。

(3)参事高橋氏の言う「酪農家に言われて売り先を知りたかった」という事もひとつの事実として存在するのであれば、「酪農家に言われて」というのはいつ、何処で起こったことか。
複数であればそのすべてを具体的に明確に書き出していただきたい。

(4)今回の一連の尾行事件が参事、高橋氏が自らの判断で…というのも信じがたい。
販売会議等、乳販連の会議において本来決定されるべき内容であろう。
ここ半年あまりの議事録のコピーを提出願いたい。

提出先
〒372-0014 群馬県伊勢崎市昭和町3928
(株)MMJ 代表取締役 茂木修一

期限  平成15年2月14日

以上
株式会社MMJミルクマーケットジャパン
群馬県伊勢崎市昭和町3928
代表取締役社長  茂木修一

2. 群馬県牛乳販売農業協同組合連合会からの回答

以下はMMJが提出した調査資料提出要求書に対する、群馬県牛乳販売農業協同組合連合会からの回答である。

3. 調査資料提出 再要求

乳販連 高橋氏からの回答を受けて、MMJは再度、会長に対して調査資料の提出要求を行った。

群馬県牛乳販売農業協同組合連合会
会長 新井昌一殿

平成15年2月25日

貴連合会の職務多忙の折、会長殿には農家のため大変ご尽力されていること、深く感謝いたします。
先日、別紙要求書にありますようなMMJ(ミルクマーケットジャパン)ミルクローリーの深夜尾行事件がありました。
この件に付きまして調査する中で、貴連合会職員の参事高橋準氏が主犯となって行ったと認めております。

先月、1月21日に貴連合会に調査に伺った折、会長はお留守でしたが参事の高橋氏が応待され、当方がこの件に付いて調査したものの、不可解な点、回答していただけなかった点、資料提出拒否等あり、後日、書類にまとめて同封の「調査資料提出要求書」として貴連合会に送付しました。
しかしながら結果は、同封の高橋氏著名による回答が返ってまいりました。
参事高橋氏の答弁に疑義が生じての要求書であるにもかかわらず、高橋氏自らが署名で返答しています。
連合会組織はどうなっているのでしょうか。

群馬県下の99%の酪農家を統括する酪農農業団体としての服務規程と職員の監督に大変疑問を感じます。
連合会長殿には多忙のことと存じますが、職員の暴走や犯罪行為を防ぐことも会長としての重要な責務であると思います。
調査の後、今回の事件が重要な犯罪行為の及ぶものかどうかは当方で判断したいと思っております。
BSEを始め、何かと騒がれている群馬県ですから食品関係でこれ以上大きな問題を起こしたくはないという事では当社も同じ立場であります。
公に法的な方法に及ぶのは最後の手段であると考えています。

ただ、今後のためにも事件の実態を明確にする必要はあります。
文中にありますように大変大きな事件になる可能性があるのです。
高橋氏の回答にはまったく誠意も反省も見られません。
(1)~ (3)については質問に対する答になっておりません。
(4)について、議事録がないとのことですが、議案書の提出を要求いたします。
県乳販連の代表者会議であれば公的会議であり、議事録が無いというのは改めるべきです。
代表者は責任ある発言をするべきであり、それを記録しておくことで始めて実効性を帯びた会議になると考えます。

同封の文章を確認の上、改めて調査書類の提出を再度要求いたします。
会長名でお願いいたします。

期限 平成15年3月20日

公正取引委員会への申告文書

MMJはミルクローリーの尾行が不当な商行為にあたる疑いがあるとして、公正取引委員会に事件を申告、注意勧告を求めた。
以下はその文書である。

公正取引委員会殿

平成15年7月2日

このたび、当社運営上大変危険を伴い、不当に営業を阻害される恐れのある事件が発生しましたので報告し、実行犯である群馬県牛乳販売連合会に対し注意を勧告していただきたくお願い申し上げます。

昨年12月18日と19日、今年になって1月17日に当社より出荷の原乳を積んだ大型ミルクローリーが何者かに尾行されました。
別紙内容のように調査しましたところ、群馬県牛乳販売連合会の職員(課長)およびその部下であることが判明いたしました。
尾行の意図は明確にされませんでしたが不当な商行為であることに疑う余地はなく、尾行の意図を調査していただき、同連合会に対し正当な商行為から外れる卑劣な行為を今後しないよう、勧告していただきたく存じます。

原乳は乳製品全ての原料となる商品です。
何かしらの犯罪行為の対称になれば大変な量の食品犯罪の元になることが考えられます。
首謀者は同連合会の参事、高橋準(職員の最上位責任者)であり、大掛かりで組織的な犯行の一環であったように思います。
また利害関係や組織構造から考えて参事という役職の者が企てたとすれば、非常に不自然であります。
さらに上位クラスの経営陣が疑われますが、当方で問いただした折には参事自身で企て部下に命令し実行したと言っており、同連合会責任者である会長新井昌一氏に、調査以来をしましたが、再三に渡り文章受け取りを拒否された状態です。
今事件より当社系列の輸送車両には全て施錠するよう指導しましたが、酪農家サイドまでの完全な安全対策は不可能に近い状態です。
当社系列の酪農家には安全対策を施すよう指導しておりますが、万が一の事も考え、状況報告を兼ね事件の経過報告を平成15年7月2日、別紙のように伊勢崎警察署へ提出しました。

同連合会は群馬県の原乳生産量の98%を掌握しており、県や国の行政、補助事業を一手に引き受けております。
その規模と県酪農界におよぼす権限と影響は当社の比ではありません。
このように市場、業界、行政を独占している組織が卑劣な手段により前期のような事件を企てることは社会的に許されない事であります。
事情聴取の折、参事が「販売先を知りたかった」と言いましたが、「知ってどうする?」と言う質問には答えませんでした。
不正な意図があったと思われます。
以上、ご理解の上、調査とご指導をよろしくお願いいたします。

株式会社MMJミルクマーケットジャパン
群馬県伊勢崎市昭和町3928
代表取締役社長  茂木修一

警察への提出文書

MMJはミルクローリー尾行事件に関し警察の指導のもと調査を行い、一部始終を報告した。
以下はその文書である。

 

伊勢崎警察署 生活安全課殿

平成15年7月2日

今年平成15年1月18日に生活安全課に電話連絡申し上げました牛乳ローリー尾行事件ですが、貴課ご指導により当方で調べましたので下記のようにご報告申し上げます。

昨年12月18日と19日、今年になって1月17日に当社より出荷の原乳を積んだ大型ミルクローリーが何者かに尾行されました。
別紙内容のように調査しましたところ、群馬県牛乳販売連合会の職員(課長)およびその部下であることが判明いたしました。
尾行の意図は明確にされませんでしたが不当な商行為であることに疑う余地はなく、改めて報告書を作成し公正取引委員会に提出する所存です。
原乳は乳製品全ての原料となる商品です。
何かしらの犯罪行為の対称になれば大変な量の食品犯罪の元になることが考えられます。
首謀者は同連合会の参事、高橋準(職員の最上位責任者)であり、大掛かりな組織的な犯行の一環であったように思います。
また利害関係や組織構造から考えて参事という役職の者が企てたとすれば非常に不自然であります。
さらに上位クラスの経営陣が疑われますが、当方で問いただした折には参事自身で企て部下を使って実行したと言っており、同連合会責任者である会長新井昌一氏に、調査依頼をしましたが文章受け取りを拒否された状態です。
今事件より当社系列の輸送車両には全て施錠するよう指導しましたが、酪農家サイドまでの完全な安全対策は不可能に近い状態です。
当社系列の酪農家には安全対策を施すよう指導しておりますが、万が一のためにも生活安全課に状況報告を兼ね事件の経過報告をいたします。

株式会社MMJミルクマーケットジャパン
群馬県伊勢崎市昭和町3928
代表取締役社長  茂木修一